次世代計算基盤のためのHPC・量子計算資源の調査研究
量子イジングマシンなどの新しい計算原理と、スーパーコンピュータを組み合わせたハイブリッド計算基盤は、次世代の科学技術を支える重要な研究テーマとして世界的に注目されています。
本研究は、文部科学省の次世代計算基盤に関する調査研究の一環として実施されており、スーパーコンピュータ基盤 HPCI と量子・イジング型計算資源を連携させた将来の計算環境の構築可能性を調査することを目的としています。
日本は、量子アニーリングの理論提案をはじめ、イジングマシンの研究開発において国際的に先行しており、ハードウェア・ソフトウェア・応用研究を含む幅広い技術基盤を有しています。本研究では、こうした国内の技術資産を結集し、次世代の計算基盤として社会実装につなげるための調査研究を行っています。
研究の目的
本研究では、次世代のフラッグシップスーパーコンピュータおよびHPCIシステムにおいて、量子計算やイジングマシンなどの新計算原理をどのように統合的に利用できるかを検討しています。主な研究目的は以下の通りです。
- イジングマシンを含む新計算原理とスーパーコンピュータとの連携方式の調査
- ハイブリッド計算基盤における運用方式・利用環境の検討
- 量子ゲート方式コンピュータを含む次世代量子計算技術のロードマップ整理
これらを通じて、将来の大規模計算基盤における量子計算の役割と実装可能性を明らかにします。

研究体制
本研究は東北大学を代表機関とし、大学・研究機関・企業が連携する産学官共同体制で実施されています。
研究は専門分野ごとに編成された6つのグループが連携して進めています。
イジングマシン調査研究グループ
量子アニーリングや疑似量子アニーリングなどのイジング型計算機技術の調査を行い、HPCIとの連携方法や課題を評価します。
運用・システムソフトウェア調査研究グループ
量子イジングマシンとスーパーコンピュータを連携させるための運用基盤・システムソフトウェアを調査します。
新計算原理ソフトウェア調査研究グループ
量子イジングマシンを活用するためのライブラリ、開発ツール、自動チューニング技術などのソフトウェア環境を検討します。
アプリケーション調査研究グループ
防災・通信・科学計測などの分野における実際の利用シナリオ(ユースケース)を調査します。
次世代イジングマシン調査研究グループ
Pビット計算機やコヒーレント・イジング・マシンなどの次世代計算原理の可能性を調査します。
汎用量子計算機動向調査研究グループ
NISQデバイスから将来の誤り耐性量子計算機(FTQC)まで、量子コンピュータ技術の動向を調査します。
将来展望
量子イジングマシンや汎用量子計算機は、特定の問題において従来のスーパーコンピュータでは到達できない計算性能を実現する可能性があります。本研究は、これらの新しい計算技術を既存の高性能計算基盤と統合することで、日本の科学技術力と産業競争力の強化に貢献することを目指しています。